【訃報】「ライ麦畑でつかまえて」 作家のサリンジャー氏死去 91歳
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100129-OYT1T00155.htm
【ニューヨーク支局】AP通信などは28日、小説「ライ麦畑でつかまえて」などで知られる米国の作家、J・D・サリンジャー氏が米北東部ニューハンプシャー州コーニシュの自宅で死去したと報じた。91歳だった。
ニューヨーク生まれ。1951年に出版された「ライ麦畑でつかまえて」は、成績が悪いせいで学校を追い出され、ニューヨークをさまよう主人公の心の動きを描いた物語。攻撃的な表現や性に関連した言葉遣いが賛否両論を巻き起こし、ロングセラーとなった。ほかの代表作は「ナイン・ストーリーズ」(53年)「フラニーとゾーイ」(61年)など。
(2010年1月29日03時39分 読売新聞)
何故か読売の記事が既に無くなっているので、2ちゃんの当該スレからコピペ。昨年だったか、勝手に『
ライ麦畑でつかまえて』の続編を出版されそうになって、裁判になってましたね。あの時
「まだ生きていたのか!」と驚いたのだけど、遂に亡くなられた模様。91歳なら大往生と言っていいでしょう。
・・・
恥ずかしながらピンちゃんは『
ライ麦畑』を読んでないの困ったものだけど、サリンジャーで読んだのは『
ナイン・ストーリーズ』と『
フラニーとゾーイー
』だけ。しかも両作とも、内容を全く憶えていない(笑)。
読んでなくても世界的な古典小説なら、なんとなく粗筋を知っていることが多いのに『
ライ麦畑でつかまえて「ライ麦畑でつかまえて」が悪い。いや、悪くないというか一種の
「名訳」だけど。
ピンちゃんは粗筋すら知らなかったくらいだから、昔は原題は
「Catch me in the Rye」だとなんとなく思っていた。いつかは忘れたけど
「Catcher in the Rye」が原題だと知って、不思議な気分だった。どう考えたって直訳なら
「ライ麦畑の捕手」とか
「ライ麦畑の捕まえ手」でなければおかしい。
春樹が新訳で
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」としたのは正確な訳ではあるけど、2003年という時代性があると思う。野崎孝氏が訳した1964年(東京オリンピックの年だ!)に村上春樹が訳したとしても、別のタイトルになったはずです。
それにしても、野崎さんは天才ですね。
「ライ麦畑の捕まえ手」→「ライ麦畑でつかまえて」
「つかまえて」をキーワードに、主客を転倒させ、完全な誤訳にもかかわらず、この意識的な誤訳が日本での
「ライ麦畑でつかまえて」人気を支えていると言っても過言ではない。
・・・
翻訳の問題で言えば、似たような例にキューブリックの映画『
博士の異常な愛情』があります。原題は
「DR. STRANGELOVE」なので、直訳すれば
「ストレンジラブ博士」です(笑)。たぶん、こんな奇天烈な名前は実際はないと思うので、キューブリックが
「異常な愛情」という含意を込めたのでしょ。よく知らないけど。
更にだらだら翻訳話を続けると、『
スター・ウォーズ』では昔は
「force」を
「理力(りりょく)」と訳していました。なっちゃん訳だかどうかは知らないけど。それが途中から
「フォース」になった。これも一種の時代性で、日本人の多くが
「フォース」という英単語を知るようになったから、そうなったのでしょう。
ピンちゃんは翻訳と時代性ということに少しこだわりがあるのだけど、
「Catcher in the Rye」なら、やはりその作品が発表された当時の日本の言葉使いを使って訳すのがいいと思う。何しろ読んだことないから想像で書くけど、作中の当時のスラングとか言葉使いを、下手に現代の若者の口癖に置き換えると、なんかおかしな事になってしまいそう。
ぐだぐだ書いてきたけど、サリンジャー氏の死に、哀悼の意を。