ピンちゃんの赤貧日記

明日は明日の風が吹く
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【ゴルゴ13】第62巻 ナイトメア
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    (アマゾンで検索したけど62巻がでてこなかった。。。orz)

    さて、ちびちびと読み進めているゴルゴ13シリーズですが、第62巻には4.5話分が収められています。0.5というのは何かといえば、61巻の最後に第249話の前篇、62巻の最初に後編が収められています。

    さて、ピンちゃんがゴルゴ13で楽しみにしているのは、実際に起こった事件をモチーフにして、そこに架空の存在であるゴルゴが登場し事件の裏側を暴くという形式です。どうやら、全くの絵空事から、かなり真相に近い話までいろいろあるようだけど、それらの事件を思い出していろいろ想像したり、登場人物のモデルが誰かを特定するのが楽しいのです。

    いまやインターネットで検索すれば、表向きの事件の概要はすぐに調べられるので、昔よりも楽しめる環境が整っていると思います。

    ・・・

    一応、後々の為にも、本巻に掲載されている作品の目次も載せておきましょう。

    第239話:南フロリダ殺人ゲーム(後編)
    第238話:ナイトメア
    増刊13話:G線上の狙撃
    第240話:システム・ダウン
    増刊14話:禍(わざわい)なすもの

    本巻の見どころは最終話【禍(わざわい)なすもの】でしょうか。この作品は通し番号第240話の次の作品で、増刊14話ということになっています。上の目次は62巻の掲載順になっているのだけど、通し番号の順序が入れ替わっています。ゴルゴ13研究家すぎもり・まさたけ氏による分類でしょうか。

    恐らく南フロリダ殺人ゲームが長い話なので前篇後篇に別れていて、文庫化するときの都合で入れ替わっているものと思われます。

    さてさて、「禍(わざわい)なすもの」の粗筋を述べれば、ひとときの休暇でアメリカはモンタナ州の隠れ家を訪れたゴルゴがとある事件に巻き込まれてしまう話です。

    静かな町で日用品などの買い物を済ませたゴルゴが屋上でくつろいでいると、空がなにやら騒がしい。米軍機と思われるヘリコプターから兵隊が落下傘降下している。異常事態を察知したゴルゴは行動を開始するが、そこへ大きなバックパックを背負った男女二人が通りかかる。

    実はこの二人はKGB要員で重要な任務を帯びて行動していた。ここからが実際に起きた事件をモチーフにしていて興味深いのだけど、漫画の中ではソ連の衛星「スピカ・コスモス1530号」が軌道修正に失敗し、高度を下げはじめ、最後には地上に落下してしまう。その落下地点がいうまでもなくカナダとの国境沿いのモンタナ州だったのである。

    更に漫画の中では、アメリカ政府はこのコスモス1530号の動力が原子力発電によるものではないかと疑っていた。さっそく米軍はヘリコプターで捜索を始め、一方のソ連でもKGB要員二名に電源部の回収を命じていたのだった。

    ・・・

    さてさてさて、これは実際に起こった事件であろうとネット検索してみると、すぐに見つけましたよ。たぶん「コスモス954号」のことに違いない。

    wikipediaによれば、コスモス954号は1977年9月18日に打ち上げられた。運用を終えたので原子炉を分離し、高度の高い安定した軌道へ移動させようとして失敗。そのままカナダ北西部の無人地帯に、1978年1月24日に墜落したそうな。

    ピンちゃんの想像を交えて補足すると、原子炉は始末に困るので分離して安定な高高度軌道(墓場軌道というらしい)に移動させ、残りの部分は大気圏への再突入で燃え尽きるような角度で落とそうとしたんじゃないかな。万が一燃え残っても安全な太平洋の真ん中に落ちるようなタイミングも計算されていたことでしょう。

    どういうことかといえば、俗にいうスパイ衛星というのは地上や海上を見張るわけだけど、当時のレンズの性能や日に何度か同じところを巡るという条件からかなり低い軌道を回っていた(250km程度か?)。低い方がよく見えますからね。

    しかし、高度が低いとそれだけ抵抗も大きいからすぐに安定軌道からずれてくる。今ならレンズの性能もいいから、最初から安定軌道に投入するのかもしれないけど、昔はいろいろな技術上の制約があったのでしょう。
    (この辺の話はあまり自信ないです)

    ということで、実際はアメリカのモンタナ州ではなくカナダに墜落し、原子力衛星であることは最初から分かっていたみたいです。1978年1月といえばピンちゃんはまだ12歳になる前なので全く記憶にありませんが、当時は世界中で大騒ぎになったみたいですね。

    ・・・

    さて、話をゴルゴ13に戻しますが、KGB要員二人がゴルゴのログハウスで休んでいると、アメリカの捜索隊がやってきて外から問答無用で銃撃をはじめます。しかーし、そこはゴルゴ手抜かりはない。平凡なログハウスに見せかけて内側は鋼鉄、窓は防弾ガラス、地下には核シェルターまである(笑)。

    驚いた米軍指揮官がログハウスの持ち主を調べるのだけど、すぐにデュークトウゴウだと判明する──この話の結末までは書かないでおくけれども、最終ページは以下のようにしめくくられている。
    NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)は、
    ソ連の軍事偵察衛星”コスモス1530号”は、
    アメリカ上空で再突入、燃え尽きたと発表した。
    一方、ソ連は速やかに陳謝の意を表したのである……

    ・・・

    実際はカナダに墜落したのでカナダ政府に謝罪したと思われるのだけど、驚いたことにソビエト政府はカナダ政府に対して、300万カナダドルの賠償金まで支払ったそうです。

    (1) コスモス954号事件外交解決文書(カナダ・ソ連、1981年4月2日公表)
    1978年1月のコスモス954号崩壊事故に関するすべての問題を解決するための1981年4月2日付けカナダ政府とソビエト社会主義共和国連邦政府間の議定書

    http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_3/3-2-2-1_j.html

    あと気になる放射線関係について。原子炉本体とウラン燃料は燃え尽きたらしいのだけど、燃え残った破片が散らばり、除染作業が行われたそうで、その名も「朝の光作戦 (Operation Morning Light)」。除染作業に関係する部分をwikipediaから引用しておきます。
    放射性物質を取り除く作業は「朝の光作戦 (Operation Morning Light)」と名づけられ、米加合同チームにより、氷が融ける4月まで(その後10月15日まで延長)、合計12万4千km2にわたって行われた。
    12個の大きな破片が回収され、そのうち10個が放射性であり、1時間当たり最大1.1シーベルト(Sv) の放射線を放つものもあった。しかし回収できた核燃料は全体の1%程度だと見積もられている。

    なるほど、米軍はこのとき放射能を帯びた物質の回収作業の経験をしていたんですね。福島第一原発の廃炉作業とか福島県の除染作業なんかでアメリカのこの経験が役に立ったのかどうか、ちょっと気になるところです。
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