ピンちゃんの赤貧日記

明日は明日の風が吹く
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鳩山由紀夫、蓄電池と普天間を語る
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    「我々は正義の味方だ」
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120319/229946/?P=1

    最近は新聞記事そのものを取り上げてエントリにすることはなくなっていたのだけど、上の記事が凄いので、思わず書きたくなりました(笑)。

    まずは記者である篠原匡氏による、福島第一原発事故後の再生可能エネルギーに関する認識が示されます。簡潔にまとめられているので引用すれば、
     原発事故後、脚光を浴びる再生可能エネルギー。その動きと軌を一にして、蓄電池の重要性も認識されつつある。太陽光や風力などの自然エネルギーは日照や風向きで発電量にばらつきが出る。こういった不安定な発電が送電線網に与える影響も無視できない。

     だが、大規模な定置型蓄電池を設置して電力をためることで、この問題は解決できる。現在も課題になっている昼間と夜間の需給ギャップを平準化することも可能だ。現状ではコスト高を指摘されているが、今後のエネルギー問題を考えれば、蓄電池はカギを握る存在と言える。

    要するに、自然エネルギーというのは、太陽光にしろ風力にしろ天候任せの面があり、不安定である。この問題を解決する鍵となるのは蓄電池であると言ってます。これは事実で、大容量の電力を蓄電できれば、どのような発電方式にしろ、それは朗報になります。しかし、現実は技術上の問題で、効率のよい蓄電池は開発されていないと私は理解してます。

    篠原氏は「そのことに、国会議員も気づき始めた」と書いているけれど、こんなのはエネルギー問題に少しでも興味がある人にとっては大昔から常識でした。具体的に何が問題かといえば、エネルギーを溜めるとはどういうことか考える必要があります。物理学の基本的な法則のひとつに「エントロピー増大の法則」というものがあり、例えば薬缶でお湯を沸かしても、ほっとけば薬缶のお湯は冷えてしまう。

    薬缶の代わりに熱伝導率の低い物質で大量の熱湯を保管し、必要に応じて使うことにすれば、それなりにエネルギーを溜めたことにはなるだろうけど、エネルギー効率は著しく低いことは誰にでも分かる。概念的な話はやめて現実的な話をすれば、広義の蓄電池としては「揚水発電」というシステムがある。
    夜間などの電力需要の少ない時間帯の余剰電力を利用して、下部貯水池(下池)から上部貯水池(上池ダム)へ水を汲み上げておき、電力需要が大きくなる時間帯に上池ダムから下池へ水を導き落とすことで発電する水力発電方式である。揚水発電による発電量は、ロスのために使用電力量の7割程度である。すなわち実際上は、発電所というよりも、ダムを用いる巨大蓄電池、蓄電所と言うべきものである。

    wikipediaには上のように説明されているのだけど、現実的に考えれば、今後大規模なダムを建設するのは難しいだろうから、現在あるダムを利用できる範囲内でしか揚水発電は出来ない。
    民主党の一部議員は昨年7月、「蓄電池の普及および蓄電社会システム産業の国策的振興を目指す議員連盟」を設立、定置型蓄電池の普及に向けた勉強会を進めている。3月12日、蓄電池議連の会長を務める鳩山由紀夫・元首相に、大阪府堺市から伊丹空港に向かう車中で構想を聞いた。

    とにかく、大容量蓄電池が技術的に可能であれば、日本どころか世界中のエネルギー問題にとっての福音になることは論を待たない。そのことにようやく政治家も気づいたとして、この記事は始まっている。インタビューの相手は蓄電池議連会長の鳩山元首相である。

    ・・・
     私は地球温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%削減すると提唱しました。この目標を実現するために、2030年までに原子力発電の比率を5割まで増やす必要があった。ところが、現実を見れば、原子力を5割にすることなど不可能です。

    この部分を読んで私は目眩を感じたのだけど、鳩山元首相は何を考えて所謂「鳩山イニシアチブ」を口にしたのか分からなくなる。私なりに鳩山さんの発言を好意的に解釈し、日本語を日本語に翻訳すると、

    『地球温暖化が問題視されていたから、2020年までに25%炭素ガスを削減すると宣言してみたんだけど、折り悪く東日本大震災が起こってしまい、いまや原子力発電の割合を5割まで増やすなんて不可能になった』──最大限好意的に解釈しても、こう言ってるとしか思えない。

    しかし、鳩山元首相が25%削減と言った時点でも実現不可能な数値だし、いったい何を根拠にこんな発言をしたのか理解できない。東日本大震災が起こらなくたって、原子力発電所をそんな簡単に新設できるはずがないのである。しかも、鳩山イニシアチブが軽率な発言だったというような反省や後悔が、上の発言からは全く感じられない。
     応急措置としての天然ガスと石油を使うことは仕方がないとしても、地球温暖化ガスの削減には挑戦しなければならず、将来的には再生可能エネルギーに頼らざるを得ない。

    つまり、鳩山イニシアチブを全世界に発信したときは原子力発電のリスクを考慮していなかったので、5割まで引き上げようと思っていたが、東日本大震災で考えが変わった。だから、これからは一時的に化石燃料を使った発電に頼らざるを得ないが(原子力発電は危ないから使いたくない?)、将来的には自然エネルギーの割合を増やしていくのがいいんじゃないかな。

    私としては、鳩山元首相の認識はこの程度だったんだろうと想像しますが、みなさんはどう感じたでしょうか。

    ・・・
    鳩山氏が率いる蓄電池議連は、再生可能エネルギーの導入や地球温暖化問題だけでなく産業育成の観点からも蓄電池に注目している。

    ここから、産業育成などの話になっていきます。「蓄電池議連が焦点を当てている技術がリチウムイオン電池です」などと書いてあるのだけど、要するに電池です。技術的な話は分からないけれど、原理的にはボルタ電池と変わらない化学反応を利用したものでしょう。結局のところエネルギー効率や価格の問題になるのだろうけど、全世界の誰もが知っている化学反応を利用した電池で、日本がいきなりブレークスルーになる技術を開発できるか否か、私は懐疑的にならざるを得ない。
     そういう(行き詰まった)時に、風穴を開けるのが政治なんですよ。逆に言えば、我々の力不足かもしれません。もう1つは(官僚に)理屈で勝たないと。実証実験を重ねて、結果を出していかないと進まないという面はありますので。そういった難しさはありますね。

    ちょっと意味不明だけど、含意としては、官僚が将来性がありそうな蓄電池の技術開発を邪魔していると読めなくもない。まさかそんなことはないと思うのだけど、鳩山元首相なら、何をどう曲解していても不思議ではない。しかしながら、蓄電池の将来的なブレークスルーに関して、官僚が懐疑的である可能性は高い。私も個人的に懐疑的なのである。

    或いは、官僚が原子力発電継続を画策し、鳩山元首相が自然エネルギー発電に力を入れてるのを妨害していると感じているのかもしれない。しかしながら、鳩山イニシアチブを高らかに宣言した頃の鳩山元首相は、原子力発電の割合を5割まで増やそうとしていたのである。鳩ポッポとはよくいったもので、元首相は三歩歩いたせいで、自分が過去に何を言ったのか忘れたのだろうか? それとも、原発事故は自分が起こしたわけじゃないから、以前に言ったことは免責されると思っているのだろうか?

    ・・・
    普天間移設の時も、官僚は米国の方を見てやっていた。そこに、自分の力が及ばなかった。

    これはある程度事実なのかもしれないけど、鳩山元首相にいたっては、現実を見ていなかったんだから(笑)、目も当てられない。
     政権交代を目前にした時期、鳩山氏は米軍普天間飛行場の移設先は「国外、最低でも県外」と主張した。その後、2010年3月に開かれた自民党の谷垣禎一総裁との党首討論で、「私は今、その腹案を持ち合わせているところでございます」と具体的な候補があることを明言。だが、その言葉が致命傷となり、結果として9カ月で退陣することになった。

    篠原記者が簡潔に鳩山退陣に至る経緯を説明しています。この頃のごたごたは私もリアルタイムで見ていたのだけど、民主党がおこちゃま政権である姿を日々露呈し続けていました。
    「何も考えていないんじゃないか」と言われるから、「腹案がある」と言ったんだけどね。もうこれ以上、普天間の話はしなくていいでしょう。役人とは一切、相談しないでやろうとしていましたからね。

    鳩山元首相がどういう意味で上のような発言をしたのか、私には理解できない。鳩山元首相が何も考えないで思いつきで適当なことを言っているというのは、当時少しでも政治に興味を持っていた人なら感じていた懸念のはずです。その噂が鳩山元首相の耳にも入っていたということなんだろうけど、結局のところ「腹案」はあったのでしょうか?

    事実経過を冷静に考えればなかったと断じるしかないのだから、上での鳩山元首相の発言は、「何も考えていないんじゃないか」と言われたのが癪にさわったので、思わず腹案があると口走ってしまった、と読み取れてしまう(笑)。実際そうだったんじゃなかろうかという疑念が頭から離れない。

    一年足らずとはいえ、日本ほどの経済大国の首相に、ここまで頭のおかしい人が就任したという事実は、日本の政治史上最悪の出来事だったと思う。だいたい、沖縄の基地問題をどうにかしたいと本気で考えていたなら「役人とは一切、相談しないでやろうとしていましたからね」というのは、自分が馬鹿であると告白しているようなものです。
     取材の趣旨が蓄電池関連ということもあるのだろう。政権時代の官僚の抵抗や普天間問題について質問すると不機嫌な表情を浮かべ、口が重かった。およそ30分のハコ乗り。その後、伊丹空港に到着すると、長躯をかがめて関係者に頭を下げ、要人用の出入り口に消えていった。

    篠原匡記者の真意は分からないけれど、忙しく移動中の車内での30分にわたるインタビューは、非常に有意義な内容に仕上がっている。記事そのものの論旨は不明確で、篠原氏がどの程度のキャリアを持ったジャーナリストかも不明だけど、鳩山元首相の頭がおかしいということは、はからずも十分描き出している。

    鳩山元首相と菅元首相、どっちがより最悪かみたいな議論があるけれど、私は、首相或いは政治家としてというよりは、人として、鳩山さんより頭のおかしいひとを見たことがない。
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