ピンちゃんの赤貧日記

明日は明日の風が吹く
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日本の放射線と私
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    最近は福島第一原発そのものの報道が減ってきてやれやれと思っていたら、マスコミのみなさんの興味は東京周辺の線量に移ってきたようである。すなわち、原発の影響で遠く離れた○○でもこんなに放射能に汚染されている!みたいな記事を書きたいのでしょう。

    更に性質が悪いことに、商売でやってるマスコミや元から反核・反原発なひとびとだけじゃなく、マスコミの過剰報道に疑心暗鬼になった人々が線量計片手に素人探偵と化している。性質が悪いというのは、計測するなということではなく、正しい知識を身につけたうえでやって欲しいということです。

    私はもとから福島第一原発の近く以外は大して問題ないだろうと思っているから(福一で直接作業している人だってばたばた死んだりはしてない)鷹揚に構えているけど、それは自分が安全圏の北海道に住んでいるからではないのです。仮に東京に住んでいたって全く気にしないで生活していると思う。

    とは言え、政府が正確な情報を出さないから自分たちで調べるしかないんだ、そんな叫びが聞こえてきそうでもある。まあ、お子さんをお持ちの方々の不安はわかる。そこで、少しだけ放射線に関して、基本的なことを書こうと思います。

    ・・・

    まず、自然放射線という概念があります。説明のしかたは幾つもありますが、自己流に定義すれば「地球上に人間が存在していなくても、もともとある放射線」と言えば分かりやすいでしょうか。すなわち、地球が存在している時点で放射線はまったくのゼロではあり得ません。太古の昔から人類は、微量の放射線を浴びながら生活してきたのです(そもそも、太陽光を浴びることも「被曝」の一種です)。

    では、自然放射線の量はどれくらいか。大まかに言えば地殻に含まれる放射性物質からは、0.05μSv/hくらいです。μはマイクロと読み、10^(-6)倍を意味します。もっと分かりやすく書けば、

    1マイクロ(メートル) = 0.000001(メートル)

    です。メートルとあるのは分かりやすいように書いただけで、括弧の中は何でもいいです。もうひとつややこしいのは時間の単位です。「/h」とあるのは1時間当たりという意味で「パーアワー」などと読みますが、放射線の話題では年間の照射量が問題になることがしばしばあります。

    1日は24時間で、1年は365日なのですぐに換算できます。すなわち、

    1年 = 365 × 24 = 8760時間

    なので、1時間当たりの線量が分かれば、8760倍すれば年間線量になります。こんなの誰でも計算できることだけど、意外にきちんと説明している文章が少ないので特に記しておきます。ここで応用問題ですが、地殻による自然放射線の年間線量は、

    0.05μSv/h × 8760 = 438μSv = 0.438mSv

    となります。最後に出てきた m はミリと読み、10^(-3)の意味で、みなさんが普段慣れ親しんでいるミリと同じものです。年間線量を議論するときは、ミリ単位で語るほうが分かりやすいのです。

    地殻に含まれる放射性物質以外に、我々は宇宙線と呼ばれる放射線を年間390μSv(= 0.39mSv)ほど浴びています。上にちょこっと書いたけど、太陽光も放射線の一種なのです。
    更に空気中にも微量ながら放射性物質があり、これが意外に多くて年間1.26mSvなんだそうです。地殻、宇宙線、空気中の放射線を合計すれば、年間2mSvを少し超えるくらいでしょうか。

    困ったことに食物に関しても微量ながら放射能はあり(というか人体にだって微量な放射線源はあります)、福島第一原子力発電所の事故がなくても放射性物質を摂取してきたのです。ですから、要は線量の数値が全てです。原発事故由来だから汚い放射線であるとか、そんなことは一切ありません。

    この点は、ちょっと頭の片隅にとどめて欲しいと思います。

    ・・・

    前置きが長くなってしまったけど、このエントリに書きたかったエッセンスは上で尽きています。上にある基本的な知識があれば、あとは自分である程度判断できるでしょう。

    自然放射線の数値を上回る部分を「人工放射線」と呼ぶのだけど、これも原発事故とは無関係な産業活動に由来するものもあります。原発事故が起こる前の日本の場合、自然放射線+人工放射線 = 0.2μSv/h以下くらいが通常値だったはずなのだけど、これより少しくらい多くても問題はありませんよ。

    素人の私が偉そうに御託を並べてもしょうがないので、地殻由来の放射線量について専門家の話を聞いてみましょう。

    ○日本の放射線量
    http://www.geosociety.jp/hazard/content0058.html

    日本の自然放射線量

    グレイ(Gy)という新しい単位が出てきてうんざりされるかもしれないけど、シーベルト(Sv)と同じものだと思っても問題ありません。地図は色分けされていて、気温と同じように赤い色は線量が高くて、青は低いので分かりやすいと思います。この図からまず分かることは、地域によって自然放射線の線量にかなり違いがあるということです。

    もうひとつは、地域差があるけれど、これは自然放射線の話なのだから、ちょっとくらい高くても健康被害なんてないということです。これまでの原発事故と放射線被害の報道を見るにつけ、放射能=毒みたいなイメージで捉えている雰囲気が濃厚で(チェルノブイリ原発事故直後のヨーロッパもそんな感じだった)、いやそれは違いますよと私は気になっていたのです。

    ○震災関連の研究情報提供
    http://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/index.html

    もうひとつ参考になるサイトをご紹介しておきます。ここもやや専門的ですが、どうしても放射線被害が気になる人は、がんばって読んでみて下さい。マスコミに登場して発言すると「御用学者」などと呼ばれるから、普通の研究者はテレビに出ないけど、彼らはきちんと仕事をしています。

    本来彼らの知識を噛み砕いて一般の人々に紹介するのがマスコミの役割だと思うのだけど、あまりの大事故でわけがわからなくなり、原子力村とか御用学者とか、分かりやすい構図にこだわりすぎて正確な報道がなされてこなかった恨みがあります。

    チェルノブイリ原発事故に比肩しうるほどの大事故だから、ある程度はしょうがないなと思うけど、そろそろ冷静さをとりもどし、もう少し科学的な報道を心がけて欲しいと思ってます。
    | 科学全般 | 00:00 | comments(4) | trackbacks(0) |
    コメント
    ヘビースモーカーの言うことなんて信用されませんよ。
    | fx | 2011/10/30 12:30 AM |
    非常に真面目で、マスコミ関係者にも読んでいただきたいエントリだと思います。現象を正しく理解する、これが第一歩だと思うのだけれども、その第一歩が間違った方向に行っているのが、現在の放射線量測定騒動なのだと思います。

    にしても、上の人はこんな茶々しか入れられないならコメントしない方が良いのではないか。筆者に対し失礼だと思う。
    | チェス | 2011/10/31 9:39 AM |
    >チェス

    あなたが思うのはあなたが何の専門家でもないただのド素人だからです。

    あなたはしょせんド素人なのだから、謙虚になるべきです。
    | fx | 2011/11/01 6:50 PM |
    fxさん
     小生が書いたことが良くご理解いただけなかった様だから、もう一度書きます。あなたのコメントにはまず内容が無いばかりでなく、ブログオーナーのピンちゃんの嗜好があたかもエントリの内容の信憑性を毀損しているかの表現をしていますよね。これは礼を失していますよ。喫煙とエントリ内容とに如何なる関連が認められるのでしょうか。

     あなたがいかなる分野の専門家なのかは存じ上げないが(百歩譲って、国内外の研究者から書いた論文が多数引用されるような業績の研究者だとしても)それなら小生の如き「ド素人」にも理解できる様な、エントリ内容へのコメントを書くべきではないですか。
    | チェス | 2011/11/02 9:12 AM |
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