ピンちゃんの赤貧日記

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放射線と放射能 その2
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    さて、前回の続きです。前回はそもそも原子とは何か、原子核とは何かみたいな初歩的な話をしたのだけど、原子とは、原子核と電子から構成される単位の物質であるというような話でした。原子核は更に陽子と中性子からできていて、陽子の数が同じで中性子の数が違う原子のことを同位体という、とか。

    原子が集まると分子になり、原子が周期的に並ぶと金属などの固体になったりします。その固体に電流が流れるか流れないかで良導体とか絶縁体などということも知っているでしょう。中間的な性質の物質もあって、そういうのは半導体と呼ばれています。いずれも量子力学的な説明を必要とするのだけど、前回同様、原子核関係で高校で習う範囲での話をさせてもらいます。

    ・・・

    原子核には原子番号が小さいものから大きいものまであるのだけど、大きいものは不安定で、自然に崩壊しながら放射線を放出する元素があり(放射性崩壊)、そういう性質のことを放射能と言います。放射能をもった同位体が放射性同位体です。

    放射性元素が崩壊する時、α崩壊とβ崩壊があるけど、少々面倒なので前回は詳しく説明しませんでした。具体的にどんな現象なのかといえば、

    α崩壊:α線が放出されるときには、陽子2個と中性子2個(He原子核)が放出されるので(α粒子)、崩壊後の原子は原子番号が2減り、質量数が4減ります。

    β崩壊:原子核の内部には電子はないのだけど、中性子が陽子に変化する時電子が放出される。なので、質量数は変わらないけど、原子番号が1だけ増える。

    β崩壊の意味が分かりづらいと思うのだけど、核力が働いている範囲(原子核)からはみ出すと中性子というのは不安定で、陽子と電子および反電子ニュートリノに崩壊します。まあ、そんなもんだと思ってください。何のことやら分からないと思うけど(笑)。とにかく、β線とは電子のことです。

    α崩壊やβ崩壊したあとの原子もまた不安定で、所謂励起状態にあります。こういう高エネルギー状態にある原子というのは電磁波を放出して、放射性元素の場合は準安定状態に落ち着くのだけど(一般的には基底状態)、困ったことに放射性元素が出す電磁波は高エネルギーで、それをγ線と呼んでいます。

    γ線というのは概ね波長が10^(-11)m以下の電磁波のことだけど、もちろんレントゲンで有名なX線より高エネルギーです。皮膚がんの原因になるとか、沁みになるとか言われている紫外線の波長は、

    10〜400*10^(-8)m

    なので、2、3桁違います。女性の敵の紫外線より千倍くらい危ないと思ってくだされ。電磁波のエネルギーは、E = hν[J]であると別のエントリで書いたことがあると思うのだけど、電磁波(光)には、

    C = νλ

    という関係もあります。Cは光速(3×10^8[m/s])で、νは振動数[Hz]、λは波長[m]。hはプランク定数と呼ばれ、

    h = 6.6×10^(-34)[Js]

    です。めんどくさい話に巻き込んで申し訳ないけど、このへんの単位とかオーダーを知ってもらわないと、先に進めないのです。

    ・・・

    とにかく、放射性元素というのは陽子や中性子の数が多すぎて、短距離力である核力で抑えきれず不安定なのです。そして、その放射性元素は自然崩壊するのだけど、その時、放射線(α、β、γ線)などを放出します。何れも高エネルギー線なので、人間のDNAや染色体を傷つけるから危険なのです。

    そして、その崩壊の仕方にはルールがあり、それをα崩壊、β崩壊と呼んでいるのだけど、どの放射性元素ならどういう崩壊の仕方をするということは分かってます。つまり、放射性元素というのは、1回崩壊したら終りじゃなくて、次々に崩壊しながら最終的に安定な元素になります。その崩壊の仕方で分別すると、よっつの放射線系列というものがあります。

    ウラン系列:ウランU^238_92を親として、ラジウムRa^226_88を経て、安定な鉛の同位体Pb^206_82に至る系列。
    アクチニウム系列:U^235_92を親として、安定なPb^207_82に至る系列。
    トリウム系列:Th^232_90を親として、安定なPb^208_82に至る系列。
    ネプツニウム系列:人工的に作られ、原子炉内で存在する。

    ということで、放射性元素がどのように崩壊するのかは既に分かってます。例えば、U^235_92が安定なPb^207_82になるには、α崩壊を7回、β崩壊を4回です。めんどくさくないひとは上の説明を読み直してくれれば分かると思います。α崩壊1回で質量数が4減るから、7回なら4×7=28なので原子番号は235-28=207。α崩壊が7回ならついでに原子番号も14減るのだけど、しかし、β崩壊が4回起これば原子番号は4増え、Pb^207_82になります。意外と単純ですね。

    ・・・

    ちょっと息切れしたかもしれないけど、最後に半減期の話をもう一度。上で説明した通り、放射性元素というのは自然崩壊しながら別の元素に変わっていくのだけど、最初の元素をRだとした場合、その量が半分になるまでの時間を半減期と呼んでいます。

    単位時間に崩壊するRの割合は存在するRの数に比例するので、結局量がどれだけあっても一定の割合で崩壊します。これを式で表すと、最初にあった量N_0、時間tのあとに崩壊しないで残っている量N、半減期をTとすれば、

    N/N_0 = (1/2)^(t/T)

    と書くことができます。最近テレビで頻繁に半減期がどうのこうの言ってますが、だいたい上で説明したことが分かれば、恐れることはないのです。放射性元素というものは勝手に崩壊しながら最後には安定な原子になるのだけど、その過程で放射線を出すので危険です。その出し方の時間スケールは各物質(核種という言葉を聞いてると思います)の半減期によりますし、その人体に対する危険性もまた核種によって違ってきます。

    前回より細かい話になったので難しかったかもしれないけど、池上彰さんがテレビで説明している内容よりかなり詳しく解説してみました。これだけ分かれば、原子核のことをだいたい理解したと思ってもいいと思います。
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