ピンちゃんの赤貧日記

明日は明日の風が吹く
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【消されかけたファイル】 麻生幾著
麻生幾さんといえば、もともとは週刊文春の花形ライターで、公安情報に詳しいことで知られていました。それがどうした訳か週刊新潮に移籍し、新潮で始めた連載をまとめたのが本書で『封印されていた文書』の続編です。

内容はといえば、サブタイトルが示すとおり「昭和・平成裏面史の光芒」というすごいもので、ラインナップも色とりどり。

・国松長官狙撃事件 呪われた悲劇
・金大中拉致事件の陰の主役・元自衛隊諜報部員
・中川一郎怪死 もう一つの真実
・グリコ・森永事件 刑事の追跡16年
・函館ハイジャック犯を急襲した対テロ特殊部隊
・幼児誘拐「吉展ちゃん事件」の眠れる秘話
・小渕首相の生死と「国家の決断」
・日本赤軍ハンター、その壮絶なる戦いの全貌
・史上最大の医療オペレーション 作戦名<デイゴ>
・歴史余談──赤坂のクラブを訪れたキム・ジョンイル総書記の息子

どうです、なかなか面白そうでしょう。

しかーし、驚いたことに、文庫本にして550頁で10個の話題が載っているのに、新事実というのはひとつもありません(笑)。のみならず、麻生氏独自の推理というものもない。それでいて、文章表現は大仰で、ちょっと白けてしまうこともあります。

なにやら批判しまくってますが、事実だからしょうがない。上の10項目でピンちゃんが面白いと思ったのは、重信房子逮捕の裏側を描いた「日本赤軍ハンター」くらいかな。やはり麻生幾といえば、他の追随を許さない公安警察描写にその真骨頂があるのです。

麻生さんには、文字通り公安警察の苦闘を描いた『ZERO』、国際謀略小説『宣戦布告』などがあり、ピンちゃんはどちらも読んだのだけど、どちらも水準以上の面白さだったと記憶しています。思うに、麻生さんは、ルポタージュやノンフィクションより、小説のほうが向いているのではないかしら。

小説の雰囲気は、落合ノビー信彦先生や『プラチナ・ビーズ』の五条瑛さんに似ているような気がします。もちろん誉め言葉です(笑)。

さて、やたらと貶してしまった本書ですが、上の10項目について、ほとんど知識が無くて、事件のアウトラインを知りたいというひとには面白いかもしれません。昭和・平成の裏面史に最近興味を持ちはじめた若い人なら、興味深く読めるかも。

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